LOTUS STUDIO BLOG
これから何が起こるか。我々は何をすればよいのか。
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10月に放送されたNHK『クローズアップ現代』では、就職活動であまりに早く次々と「内定」が出ることによる、新卒者の「内定ブルー(自分が本当に求められているのだろうかという不安)」を特集していた。ところが僅か2ヵ月で状況は激変。言葉は悪いが「内定取り消しブルー」に変わってしまった。

12月上旬、大分キヤノンで、派遣や請負従業員ら1100人あまりの解雇予告が発表された。このニュースを見ていて暗澹たる気分になった。なんとなれば、御手洗さんは日本経済団体連合会会長という要職に就いておられる方だからである。解りやすく言えば経済界のトップなのだ。そのトップが決断したことが今回の大リストラ策だったのだ。その団体のHPで、会長である御手洗さんはこう述べておられる。

日本経団連は2007年初め、10年後のあるべき日本の姿をもとに、今後5年間に取り組むべき行動計画を定めた長期ビジョン「希望の国、日本」を発表いたしました。ビジョンは「開かれた機会、公正な競争に支えられた社会」、「世界から尊敬され親しみを持たれる国」、すべての人が「精神面を含めより豊かな生活」を送ることができる日本を描いています。>

ビジョンはよい。でもやっていることが、全然違うではないか。御手洗さんはNHK『サラリーマンNEO』にも登場されていて、社食で従業員と一緒にカレーを食べていた。それは、「メザシの土光」さんを彷彿とさせるものだったが、今回の対応を見ると、本当の人間像というものがよく解らなくなってしまう。しかも御手洗さんは厚生労働省が音頭とりをしている「若者の人間力を高めるための国民会議議長」という職にも就いておられるのである。もうメチャクチャである。どこが若者の人間力向上につながるというのか?

実は、これはあまり報道されてはいないのであるが、今日の従業員の区別(差別と言ってもいい)は、1995年に日経連(2002年5月に経団連と合併して今の日本経団連となる)が発表した<新時代の「日本的経営」>が基になっているのである。この提言で、従業員を正規社員と、契約社員と短期雇用者に区別することが、経済団体共通のその後の課題として定められたのだ。この方針のどこに「希望の国、日本」があったというのだろうか?

この前後から2003年までの約10年間、完全失業率は上昇し続け、有効求人倍率が1を割る、いわゆる「就職氷河期」が到来した。そして、全雇用者数に占める非正規従業員の割合も、2割から3割超へと増加していったのである。その成果が顕れて、「いざなぎ景気」を超えたといわれる、従業員には実感なき好景気が到来したのだ。しかしもっと言えば、この日経連の提言の背景にあったのは、94年にクリントン政権から出された悪名高き「年次改革要望書」なのである。日本はこの意を受けて、労働市場も開放していくことになる。

99年には「男女雇用機会均等法」と「派遣法」が改正され、政令指定業務以外の派遣が解禁になった。これに先立つこと1年前の98年には、トヨタが終身雇用制を採用しているという理由から、なんとムーディーズが格下げを行ったのである。この時、トヨタは激しく反発したのだが、今度のサブプライムローン問題で格付け機関と称するものがどんな役割を果たしたかを考えれば、その恣意的いい加減さが解ろうというものである。

「開かれた機会、公正な競争に支えられた社会」、「世界から尊敬され親しみを持たれる国」、すべての人が「精神面を含めより豊かな生活」を送ることができる日本、を本当に目指すのであれば、やるべきことは非正規雇用者の首を切ることではない。正社員の給料を削って、皆に分け与えることである。痛みをシェアすることである。労働機会をシェアすることである。

むろん、いま高給を頂いている人には抵抗があるだろう。しかしそれは踏み絵のようなもので、「人間どう生きる」という根源的な問いにもつながっているアクションとなるのだ。阪神淡路大震災の折りにはたくさんの善意が集まって世界の人々を驚かせたではないか。この期に及んでアメリカ型追随では、さらに日本は沈んでしまう。日本は「和をもって貴しとなす」の国なのである。日本人にはそれができると信ずる。そのときこそ、日本は「世界から尊敬され親しみを持たれる国」になるだろう。そしてそれは新たな世界のモデルとなることだろう。
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