LOTUS STUDIO BLOG
これから何が起こるか。我々は何をすればよいのか。
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香川県の高松に行って来た。目的は「うどん」の食べ歩きと、「うどん」づくりのセミナーに参加するためである。そのついでに市街を散策したのだが、アーケードの中は日曜だというのにシャッターの閉まった店舗が多く閑散としていた。夜、居酒屋へ行ったら店の大将が「ああ、今日は日曜だからね」と言ったので、高松では日曜は商売しないのかと驚いた。

その折、三越高松も見てきた。東京の三越はもはや存在理由がないと自分などは思っているのだが、三越高松を見て、地方都市では「高級」という視点はいまだ有効でそれなりのポジションがあるようだと感じた。それを支持するお客がどの程度いるかはまた別問題であるが‥‥。とにかくこと高松に限っては、対抗勢力はあまり見あたらない。

先ごろ三越が業績の悪い4店舗のスクラップを決めたが、それに関する新聞報道を読むと「売場面積が狭い」ことを理由として上げている。これは新聞記事なので三越が本当にそう思っているのかどうかは解らないが、前回でも指摘したように、流通業界では不振の理由、あるいは逆に好調の理由を、売場面積に求める傾向が非常に強い。流通業界では大が小を駆逐するメガ信仰がいまだに蔓延しているようだ。

確かに70年代から90年代に掛けては、チェーンストアの興亡史においてそのような展開が進行した。しかしその時代はとっくに終わっていると思う。いまはただデカいことには、客側から見てなんの意味もない。いや、マスにはデメリットしかない、とこの際ハッキリ言っておきたい。今の客は、自分の欲しいものだけ、関心があるものだけ買いたいのである。動線計画などつくっても、客はその思惑通りになど動かない。自分の関心ある売場に直行してしまうのである。

業界紙や業界関係者は、百貨店GMSの不振を、景気後退や郊外SCに客を奪われたとか、天候不順のせいにしたがるが、真の衰退理由はハッキリしている。専門店にカテゴリーキリングされているためである。しごく簡単なことだ。百貨店百貨店である限り、GMSGMSである限り、専門店によるカテゴリーキリングはなくならない。だから衰退していくのである。

GMS系は、利益が落ちると必ず衣料部門のテコ入れを口にする。今度のイオンの「TOP VALU」ブランドでの衣料展開もそれである。食品よりも粗利が高いためで、GMS系はかつてこの部門で利益を上げていた時代の思い出が忘れられないのだ。しかし藤巻さんを起用したイトーヨーカドーの「pbi」しかり、この10年GMS系で衣料部門が復活した試しはない。衣料が失敗すると食品特化を口にし、しばらくするとまた衣料に手を出すというその繰り返しなのだ。

昔は他に店が無かったのである。しかし今はユニクロもあればGAPもあるし、無印良品だってしまむらだってある。ZARAにH&Mだって上陸した。ベルメゾンやマルイの通販という手だってある。そのなかで今さらGMSにファッションを買いに行く理由がないのである。失礼ながらGMSのオジサンたちにウィメンズのファッションが解るとはとうてい思えない。

イトーヨーカドーの鈴木敏文さんは、<GHS業態がダメなのではない、客のニーズに応えていない品揃えがダメなのであって、業態内改革は可能だ>という主旨の発言を繰り返しされていた。しかし私は、GMSに限らず「業態」優位の時代は、やはり終わったのだと思う。

「業態」というのは、ご承知のように「業種」に対抗してつくられた概念である。「業種」は製造業の分類と直結した小売で、例えば、魚屋、米屋、八百屋、乾物屋、金物屋、お茶屋、瀬戸物屋といった店である。昔はこれらが商店街にあって、それはそれで便利なショッピングセンターゾーンを形成していたわけである。

一方の「業態」はこれらの垣根を崩して、価格帯や購買頻度で商品を横に切り、品揃えしたお店である。たとえばCVS(コンビニエンス・ストア)は、今すぐ必要なものに絞った業態である。SM(スーパーマーケット)はデイリーな生活用品、一週間に2度とか3度買い物に行くお店。GMS(ジェネラル・マーチャンダイズ・ストア)は月に1度とか2度行くお店で、耐久消費財も売っている。百貨店は価格帯をさらに上に振った業態である。

SMにはコーヒー豆は売っているが、エスプレッソマシンはない。でもGMSに行くとある。そのように分けられている。スーパー出身系のチェーンストア企業は、みなこうして「業態」を満遍なく揃えている。IYグループであれば、GMSはイトーヨーカドー、SMはヨークマート、CVSはセブン・イレブンという具合にである。そのことで、消費者の購買ニーズを洩れなく取ろうとしているわけだ。

「業種」がまだ全盛だった時代に登場した「業態」は、非常に便利なものであった。その一箇所で買い物が全部済む。しかもセルフなので余計な気兼ねもいらないし、当時は価格も業種店よりは安かった(今は安いとは言えないが)。売場もこぎれいだった。そのことで、消費者の買い物の場が、「業種」から「業態」へと移っていったわけである。

しかしこの「業態」には致命的な欠陥がある。店のコンセプトが判らないのだ。「便利」か「安い」だけが勝負どころで、いったい「何屋」であるかは判然としない。だから「業態店」は、いつも同じ「業態店」同士で相対的な「安さ」競争に明け暮れるということになるのである。

お店のコンセプトというのは、商品の組み合わせによって明確化される。先の例で言えば、エスプレッソマシンと豆を、購買頻度に関係なく組み合わせれば、その店のコンセプトは明確となる。現にそれをやっている店がある。いわずと知れたスターバックスである。

このようにして今は、「業態店」が新しい「専門店」にカテゴリーキリングされて行っているわけだ。ちなみに小売業の革新は、いつも「専門店」と「総合店」が交互して起こっていく。今は日本においては、「総合店」から「専門店」へのシフトが起こっているわけである。しかしその「専門店」も、以前は「業種」という切り口だったものが、今は「ライフスタイル」を切り口にする店へと変わってきているということなのである。
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