LOTUS STUDIO BLOG
これから何が起こるか。我々は何をすればよいのか。
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7月1日、日銀は企業短期経済観測調査(短観)が、2006年12月調査以来、2年半ぶりに改善したと発表した。しかし業況判断指数(DI)そのものはマイナスの43。過去最悪だった前回3月短観と比べ10ポイント改善したというだけであって、依然として極めて低い状態だ。

こうした報道には多分に思惑が絡んでいるようだ。国がエコポイントの施策を実施したタイミングもあるのだが、なんとか景気回復「ムード」にもっていきたい魂胆がミエミエなのである。麻生さんは「景気回復最優先」と当初から言い続けていた。そのためにバラ撒きと批判された施策も行った。だから、少しでも上向きの結果が欲しい。

しかし私には、この景気「回復」という言葉そのものが引っ掛かるのである。「回復」というのは、元に戻したいということであろう。だが、本当にそれで良いのだろうか、またそれは可能なのか、である。同様に、経済アナリストや政府関係者やメディアが、景気判断の目安として、さも当然のように「株式市況」を参照することにも、ずっと前から疑問を抱いていた。

素朴な疑問を呈したい。
なぜ、「景気がいい」ことは、全国民的にいいこと、とみなされているのか?
「景気がいい」と、本当に一般庶民の生活もよくなり、幸福がもたらされるのか?
株価が上昇していると、なぜ「景気がいい」ことになるのか?
株価の上昇と、一般庶民の生活と、一体どういう関係があるのか?

私だけが解らないのだろうか? 皆さんは、これら全部に明確な答えを用意できますか? どうも、こういう疑問に対する解説がないままま、どういうわけだか「景気がいいことはいい」「株価が上るといい」という不文律がまかり通っている気がするのだ。果たしてこれらは本当なのだろうか?

景気が上昇したら、環境破壊も進むのでは? それって本当にいいことなの? とかね。
株なんて私は持っていないし、私の生活とはなんの関係もないが、いったい何パーセントの人が、株と景気の関係を気にしているんだろうか? とかね。
疑問は尽きない。

以前、東洋経済の株式担当の編集者に、こういう話を聞いたことがある。ある日その人が昭和の株名人と言われた人のところへ取材に行った。そのときに、名人が株で儲ける極意をこう語ったというのだ。「経済の成長期の前で買って、成長後に売る。それしかない。」と。早い話が、日本が「高度成長期」と呼ばれた前後でしか、確実な儲けのチャンスはなかったというのである。編集者は最初拍子抜けしたそうだ。が同時にそこには深い含蓄があると思い直したと言う。

つまり「それ以外の局面は、みな博打である」ということを昭和の株名人は語っている。「確実に儲かる技なんてものはないのだ」と。キャピタルゲインが主となった現代の株での儲け方は、「安いときに買って、高くなったときに売る」である。その株価の高下は、企業の実績とは必ずしも関係なく、多分に「思惑」によって動いているのが、今の株式市場の世界なのだ。

株式市場の解説者は、その「思惑」を「景況判断」と結びつけて解説している。が、現実に株で儲けたい人々は、「景況判断」ではなく、自分以外の他者の売り買いの予測で動いている。早い話が「景況」などどうでもいいのだ。それは売買を動かすきっかけの一つに過ぎない。景気が良かろうが悪かろうが、「安く買って、高くなったときに売れ」ば儲かる。

だから株価は、その「思惑」の動向によって小刻みに上下しながら、ロングスパンでは上昇か下降かの局面に流れていく。つまるところ、毎日の株価の上下など、景気とはなんの関係もない。さらに言えば、株価が上ったから嬉しい、下がったから悲しい、はその株を持っている人だけであって、一般の人とはなんの関係もない。冷静に考えればすぐに解ることではないか。

にもかかわらず、株式市場の解説者が、「景気」と「株価」がさも関係があるかのように連日ニュースで解説するのは、それを判断材料にして動く、大勢の「損をしてくれる素人」が必要だからだ。株のプロは、その動きと逆張りすることによって、素人に損を吐き出させ、自分が儲けることができる。つまり「情報操作」は、彼らの仕事なのである。

その日々の仕事がしやすいように、「景気」と「株価」連動説を、政府関係者や市場関係者やメディアがつくり上げ、我々も「よくわからないが、そんなものかなー」と思い込まされているだけなのだ。

さて景気の話に戻す。「景気がいい」と、自分にとっていったい何がいいのか? 普通の人なら「会社の業績が上り、自分の給料も上って生活が楽になる」と、答えるかもしれない。だが本当にそうだろうか? ならば、いざなぎを超えたといわれる平成好景気のときに、暮らしは良くなったか? まあ一部には、良くなった人もいたでしょう。でもご承知のように、瞬く間に格差社会が進展し、中間大衆は没落してしまったではないか。

早い話が、「景気がいいことは、全人類的にいい」は嘘なのである。高度成長期が終わった日本では、(みんなの)暮らしが一律に良くなる時代は終わり、景気上昇によって得する人と損する人が生まれているのだ。だから、麻生首相が「景気回復最優先」と言ったときにも、それで「自分の暮らしもよくなるかなー」などと錯覚してはならない。それは株と同じく、損する人たちを騙すテクニックなのである。

皆さんは、今の日本の景気後退はアメリカ発の「百年に一度の」経済恐慌によって、自動車や家電品の輸出が不振になったからだ、とは思っていませんか? そう思うのは当然で、政府も有識者もメディアも、そのように解説してきた。ところが、日本の輸出依存度(輸出対GDP比率)は2008年データで16.3%に過ぎないのである。これがどれくらいの割合かというと、ドイツ、韓国、中国は40%強。イギリス、フランスだって25%前後という高さ。つまり日本の輸出依存度は、主要国の中ではそんなに高くないのである。

輸出入額の対GDP比率

さらに、輸出総額に占める耐久消費財(自動車や家電品)の割合を見ると、全体の20.0%。これを対GDP比率で換算すると、3.3%に過ぎない。総輸出額の落ち込みは4割であるから、ためしにこれを掛けてみると、1.3%になる。つまり、自動車や家電の輸出不振の影響度は、対GDP比率で見れば、たった1~2%程度に過ぎないということになるのだ。どうです? この経済報道のデタラメぶり。

日本の輸出の財別内訳

注:文章を書いた後でしばらく経ってからグラフを入れようと思い立ったのですが、2008年のデータが見出せなくなってしまいグラフは2007年で作成しました。見つかったら差し替えます。すみません。

そこで、なぜこんな印象操作がされているのか、と考えてみた。一つには、自動車や家電品はみんなが知っている産業で、ニュースとして解りやすいからだと思う。第二には、これらの産業が政治献金を行っていて、政治に対し影響力が高いからだと思う。第三には、ここが肝心なのだが、政府と経済界が本当の問題を目くらましにするためだと思う。よく、内政の問題を外への戦争でかわす、という政治手段が採られるが、それと同じ理屈が働いていると思う。

2002年以降の景気回復では、実は日本の内需は伸びていなかった。にもかかわらず景気が良いと言われたのは、輸出が好調だったためである。だが内需が伸びなかった主因には、労働者の賃金が抑えられたことがあったのだ。多くの企業は、当面の利益追求のために、正社員比率を下げ賃金コストの減少を図った。しかしこの政策はロングスパンで見れば両刃の剣であった。なぜなら労働者は、同時に内需を支えるお客さんでもあったから。雇用の不安定化は、将来のお客さんの懐具合を貧しくしていったのである。

その影響が、いま来ているのだ。巷を見よ。人々はみな生活防衛のため節約に必死で、内需はいっこうに上向かない。しかしその遠因は何かと問えば、アメリカの言いなりになって市場開放を進めた政府と、新自由主義経済にはバラ色の未来があると宣伝し続けた経済アナリストたちと、さらにはその尻馬に乗って、アメリカ型の強欲な資本主義を取り入れていった経済界の三位一体にあるのだ。その結果、日本の労働者は、外国の資本家の利益のために、低賃金でこき使われるのが当たり前になったのである。

そのカラクリというか、本当のことがバレては困るから、麻生政権は「定額給付金」のバラ撒きという姑息な手段で「内需拡大だ」などとゴマかしているのである。麻生太郎は、民主党の提言を「財源が不透明」と言って攻撃するが、では「定額給付金」の財源は何か? 将来にツケ回す借金ではないか? まったく、呆れてものも言えない。

そもそもリーマンショックは、NHKの言葉を借りれば「マネー資本主義」が暴走した結果である。しかし、そこで被った損を、またもやバブルを起こして取り戻そうと画策している輩がいるのである。なぜか? あまりに損が大きくて、そうでもしないと大損を回収できないからだ。その人たちが、耳障りのいい景気「回復」を叫んでいるのである。

今の資本主義は、一部の大儲けをする人と、少しずつ損をする大勢の人とのバランスで成り立っている。搾取のコツは、それを気づかれない程度に行うこと。一回の損の金額を小額に留め、それを支払う行動を正当化する屁理屈を構築し、有識者に言わせ、あの手この手の販促で、むしろ喜んで支払うように仕向けること。株も、保険も、税金も、宝くじも、ハンバーガーも、コカコーラも、競馬も、理屈はみーんな一緒。

だから、政府関係者、市場関係者、メディアの景気「回復」という言葉には、皆さん、くれぐれも騙されないようにしましょうね。
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