LOTUS STUDIO BLOG
これから何が起こるか。我々は何をすればよいのか。
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一人息子が久しぶりに帰って来て、
「道を誤ったなぁ。俺も東大へ行って、社会学者になればよかったかなぁ」
と突然言うのです。
「なにバカなこと言ってんだい、偏差値46の男が」
と言い返して、二人で笑ったんですけれど。


息子がそう言うのは、同世代の気鋭の社会学者、古市憲寿(ふるいち・のりとし)さんに最近随分ご執心なようだからです。
古市さんは、前に私がブログにも書いたNHKの『僕らの楽しい資本主義』という番組にご出演されていました。そこでは、彼の変わった「会社生活」も映されていました。


さてそういうわけで、息子から『絶望の国の幸福な若者たち』と『僕たちの前途 』という2冊の本を借りて読んでみました。
私も、今の20代だけではなく、30代、40代、それぞれの年代にとって現代社会がどのように見えているかがとても興味があります。解らないし知りたいからです。


同年生まれの我が息子が古市さんの著作にご執心なのは、きっとそこに共感できるものがあったからなのでしょう。
でも私には、都会のマンションで生活している若者が室内にこもって考えた研究、という感じが強くして、仕方ありませんでした。
息子だって東京育ちです。その意味で、同じ感覚なのかも知れません。


それが悪いと言っているわけではありません。
社会学者としての古市さんの分析に対してあれこれ言えるような知性を自分は持っていませんし、やっぱり頭のよい人だなぁと思います。
でも2つの点で、異論があります。(もしかしたら、私の理解が足りないのかも知れませんが)


一つは、幸福感の定義といったようなものです。古市さんは20代ですので、当然バブルも高度成長期も、その前の貧乏だった時代も、実感としてご存知ではありません。そこで統計資料を駆使して、現代の若者と70年代くらいの若者と、どっちが豊かだったかという比較をされているのですが、これがちょっと違うと思うんです。


物が「ある時代」から「ない時代」を見ますと、「ある時代」の基準で考えますので、どうしても不便とか今より豊かではなかったという判断をしがちです。
でも「ない時代」には、「ある時代」が未経験ですので、今のその状態が不便であるとか、貧しいとかは思わないのです。「ない」のがみんな当たり前だったからです。


ではその時代の幸福感が何であったかというと、「将来、今よりも暮らしがよくなるイメージ」だったと思うのです。70年代には、まだそれが充満していました。
それは個人としても、社会全体としても、疑いなく持っていたもので、そこにあまり不安はなかったのです。


若者も、今のような「就職できないかも」という最低限の不安はなくて、どこの会社へ行けるかという選択の問題であったり、時には「俺は就職なんかしないぜ」というヒッピーを選ぶということが出来た時代でした。


つまり幸福感というものは、現在の所有で測れるものではなく、上昇ベクトルの角度によって規定されるものではないか、というのが私の考えです。
バブル時代には、この角度が急激に上がったわけですが、現代ではむしろ下がる方向へ傾いている。ですから、いくら物が豊富であっても、幸福感とはほど遠いのではないでしょうか?


二つめの異論は、働き方についてです。
古市さんは、ご自身が働く有限会社ゼントを一つのモデルに、これからの働き方の可能性を語っておられるのですが、それが普遍性を持つとはとても思えません。
否定しているのではありません。むしろ「働き方」に関してはその通りと思います。


しかし「働き方」とは別の、有限会社ゼントの「ビジネス戦略」は、あまりにも特殊です。類い稀なる才能の持ち主が集まっていること、成長産業の中に喰い込んでいること、B to C ではなくB to B を狙っていると公言していること。
これらは、今の大多数の若者が置かれた状況とは、あまりにも違い過ぎると思うのです。


私はむしろ、『僕らの楽しい資本主義』でイケダハヤトさんが語っていた「僕らはいいんだ、僕らはいいけれども」という言葉に共感を覚えます。
社会全体の幸福ベクトルが下り坂にあるなかで、凡人はいったいどうすればいいのか? 私はそこが重要な問題だと考えています。


●ニッポンのジレンマ
http://www.nhk.or.jp/jirenma/
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