実家に帰った折り、姉がお付き合いで講演会を聞きに行くというので、留守番をしました。
帰って来た姉から話を聞くと、○○総研のその女性コンサルタントはこう語ったそうです。
「洞爺湖サミットで使われたホテルは、一時経営破綻に陥ったが、その後富裕層に的を絞って再生した。だからこれからは富裕層を狙えば儲かるし、地方もそれで活性化する。東京では家事労働はもう自分でしなくなっている。だからそこにビジネスチャンスがある。」
私はそれを聞いて、まだそんなことを言っているコンサルタントが居るのかと思いました。
姉も「だからって、儲けてどうするのよ? それが別に幸せだとは私は思わない。あっちこっちに行って、きっと同じこと喋ってるんだろうけど、みんながそれをやったらすぐに結局過当競争になるじゃないの。」
私も以前コンサルタントでしたから、コンサルタントの手口はよーく解ります。
成功事例をいっぱい並べて、オーディエンスをその気にさせて、ある方向に誘導していくのです。もちろん、自分たちが潤うためにね。
でも、成長神話とか成功モデルは、もういいのではないでしょうか? 姉の言うように、そんなものが幸福と錯覚していた時代は終わったと思います。
それに私は、この女性コンサルタントの発想が嫌いです。
「家事労働はサービス機関に任せればいい」と言いますが、そうしたサービスを行う側は、大抵が低廉な報酬しか受けられずに過酷な労働を強いられています。それで新しい産業が起こるという人もいますが、産業化して儲かっているのは、結局は投資家だけなのです。
投資家という人たちは、働く人を道具としてしか見ません。投資家にとっては、利回りだけが関心事であり、土地、建物、金銀、為替、先物取引、債権、などと同一の延長上に儲かる産業への投資(つまり株)があるのです。
確かに新しい産業が起こるでしょうし、それで雇用も生まれるでしょう。しかし私は、このような差別を生み出す産業構造を理想社会だとは全く思いません。
「アメリカ帰りの優秀なコンサルタント」というブランド力に負け、信用してしまう人もいるでしょうが、今日のような階級社会と雇用不安を生み出した現況は、そのアメリカの思想にあると私は思っています。そしてその強欲の報いが、金融不安という形で、いま全世界を覆っているのです。
いったいいつになったら気がつくのでしょうか? 富裕層の人々というのは一生気がつかないのかも知れません。
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