LOTUS STUDIO BLOG
これから何が起こるか。我々は何をすればよいのか。
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前回書いたことは、「本質」に迫り過ぎて、きっと読んでくれた人はワケがわからないだろうなーと反省した。
中間がなかった。つまり「貿易自由化」ということの是非についてだ。
ただ、このことは前にも書いたので(たぶん、どっかに埋もれていると思います)繰り返しになってしまうが。
要するに、「自由貿易は諸悪の根源」だということ。


この「自由」という言葉に、騙されてはいけないのだ。
自由を規制することはみんな悪で、<不自由よりは、自由の方がきっといいだろう>とみんな思ってしまう。
ネーミングというものは罪だな、と思う。
「TPP」という言葉にしたって、こんな略称で政府もメディアも語っていることに、僕はある種の意図を感じるな。
人民を目くらましにしてしまおうという。


「ご隠居、最近よく聞く『TPP』って、ありゃなんなんです?」
ご隠居「あ、あれな。『Trans-Pacific Partnership』の略さ」
「と、とらんす・ぱしふぃっく、ぱーとなーしっぷ? 一体なんです、そりゃ?」
ご隠居「訳すとな、『環太平洋戦略的経済連携協定』って言うんだ」
「うーん、長ぇ。環太平洋ってのは太平洋の周りってことでげしょ」
ご隠居「ほ、ほぉ、お前さん、最近賢くなったな」
「へへ。あっしだってそれぐらい解りますよ。で、そのおしまいの『戦略的経済連携』ってぇのは、なんなんです?」
ご隠居「あ、これはな。要するに、環太平洋の国々の間で『貿易自由化』を促進しようということだな」
「なんでぇ、『貿易自由化』ってことかぁ。だったら、最初っからそう言えってんだよ。まだるっこしい言い方しやがってよォ」
ご隠居「まったくな。ところでお前さん、解ったのかい?」
「いや、ちっとも」



つまり、話の核心に行くまでに、『TPP』→『Trans-Pacific Partnership』→『環太平洋戦略的経済連携協定』→『要するに貿易自由化促進』と4回の翻訳を必要とする。
これじゃあ、「自分で調べてみよう」と思う人以外には、絶対に伝わりまへんがな!
これが、権力者の常套手段なんだね。


さて、貿易を自由化すると、いったい何が起きるんだろう。


川を隔てて、山側のA町と海側のB町が隣り合っている。
A町とB町との交通手段は、たった一本の橋を渡るしかなく、お互いが行き来するときには、お互いに対して通行税を支払っていた。
通行税があるおかげで、隣町から仕入れた品はみんな高かった。
だから、これを買える人はお金持ちに限られ、行き来する品も、その町では穫れない、生産出来ない品に限られた。
しかし、通行税はその町の収益になったので、町の財政を潤した。


ところがある日、この通行税が廃止された。
人々は喜んだ。山側の一般の人たちも、鯛を買えるようになったし、海側の人たちも猪を食べられるようになった。
そしてこれを一手に扱う越後屋は大儲けした。
ところが、B町の農家は大打撃を受けた。
なぜなら、A町で生産される米の方が断然安かったからである。これがどっとB町に入ってきた。
なぜ、A町で生産される米の方が安かったんだろう。
それは、A町が貧しかったからである。A町の人件費がB町よりずっと安かったので、米を安く売ることができたのだ。


A町の農家は、通行税の廃止によって以前より収入が増えたが、B町の農家では廃業が相次いだ。
この結果、B町では貧しい人たちが増え、物を買うこともままならなくなった。
すると、農機具屋も、お菓子屋も、髪結いも、客が減り、廃業が連鎖的に進んだ。
B町は、所得税も通行税も入らず、財政が逼迫し、廃業者が次々と町を出て行ったのでゴーストタウンのように荒れ果ててしまった。
一方A町は、今まで買ってくれていたB町の人たちがいなくなり、売り先がなくなった。
そこでC町に行くが、その時にはA町の人件費は高くなってしまい、もう米は売れなくなっていた。


要するに『貿易自由化』とは、賃金格差のタイムラグを利用して、貧しい国が収益を増やし、富める国を空洞化させる仕組みなのである。
またそれは、形を変えて「移民受け入れ」をしたことと同じなのだ。
海を隔ててはいるが、『貿易自由化』は、他国を川向こうぐらいの距離にしてしまうのである。


僕は何も、貿易のすべてに反対しているわけではない。
しかし、貿易品はその国で生産できないものに留めるべきだ。
そして自国で生産できるものに関しては、高い輸入関税を掛けるべきである。
自国で賄える産業は「育成保護」しないと、その国の独立性が保たれないし、固有の文化も守られないし、労働者の雇用も維持できないのである。
これは大前提だ。
また一方で、輸送には石油エネルギーを必要とする。
石油エネルギーを大量に消費しても、なおかつ輸入商品の方が「安い」というのは、いったいどういうわけだ。
それは生産国の賃金が不当に安いということに他ならない。


いま中国やインドが著しい経済発展をしていることに、きっとヤキモキしている人もいることだろう。
しかし、別の見方をすれば、これらの国は「ダメになるのが遅れている」のである。
そして逆に、「ダメになる」競争でトップを走っているのが、アメリカなのだ。
属国日本は、オメデタイことにその二番手で、アメリカを必死に追いかけている。
資本主義と貿易自由化はいずれダメになる。(というより、もうなっている)
だから、その一番の推進者であるアメリカが、いま「ダメになる」競争のトップを走っているのである。


そんなアホな?
という声が聞こえそうである。なぜアメリカは、自国が「ダメになる」ことに、こうまでも熱心なのか? そこに執着するのか?
その答えを考える前に、ちょっと考えてみて欲しい。
アメリカンドリームが輝いていたのは1960年代まで。そして日本が高度成長に浮かれていたのは1980年代までだ。
いずれも「国内製造業」が強かったからこそ、ドリームが実現できたのである。
しかし、アメリカは主に日本のせいで国内製造業が空洞化し、次に日本はアジアの新興国のせいで空洞化した。
つまり、「製造業」の大規模移転が、賃金格差のタイムラグによって、玉突き的に起こるのが貿易の仕組みなのだ。
「自由貿易」は、これを促進する役割を果たすのである。


住友化学専務の高尾剛正は、TPP問題に関して「これ以上経済連携で後れをとれば、産業空洞化は避けられない」と言うが、いったいどうすればそういう理屈がこねくり回せるのか、頭の中をかち割って見てみたい。
「自由貿易」を促進したら、逆に産業空洞化が促進されるのは自明の理だし、すでに過去の歴史で証明されている。
アメリカの市民がいま怒っているのは、そこにようやく気がついたからなのだ。
政府が言い続けた嘘に、うんざりしたからなのだ。


東大の本間正義は「農業を日本の成長産業とするためにも参加すべきだ」と言う。
バカも休み休み言え、と思う。
田植えもしたことのない連中が「農業」を語り、スーパーのホウレンソウの値段も知らない男(竹中平蔵)が経済を語り、大臣になるのだ。
忘れないようにもう一度、顔を並べておくね。


baikokudo.jpg

左より、伊藤元重氏本間正義氏、高尾剛正氏、竹中平蔵氏。


話を元に戻して、なぜアメリカは、自国が「ダメになる」経済政策、自国民が苦しむ経済政策に熱心なのか。
そして、日本の政官業もまた同様に、自国が「ダメになる」経済政策、自国民が苦しむ経済政策に熱心なのか。
(このつづきはまた)
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