LOTUS STUDIO BLOG
これから何が起こるか。我々は何をすればよいのか。
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NHKのシリーズ番組『マネー資本主義』の放送が終わった。第4回は「金融工学」に関するものだったが、非常に興味深かった。例のサブプライムローン問題の背景に「金融工学」なるものがある、ということは知っていたのだが、なぜ「工学」(engineering)という言葉が後ろについているのかが、今まで解らなかった。

インターネットで「金融工学」を調べてもチンプンカンプン。それがこの番組で、多少とも理解することができたのである。『マネー資本主義』での紹介は、「金融工学」の全体像を語っているのではなく、多分ある部分にスポットを当てているのだとは思う。しかし「今の世界恐慌に至るまでの過程で、金融の世界ではこんなことが行なわれていたのか」という驚きに、自分は目を奪われた。

番組では、二つのマンハッタン計画を対比して描いていた。一つは、言わずと知れたオッペンハイマー主導の「原爆開発」計画である。第二次世界大戦中アメリカが秘密裏に進めたこの計画には、亡命ユダヤ人を中心とする科学者、技術者が総動員された。「マンハッタン」というのはコードネームであり、研究所自体はニューメキシコ州ロス・アラモスに置かれていた。

この計画開始の発端となったのは、1939年、亡命ユダヤ人物理学者レオ・シラードらが、アインシュタインの署名を得て、ルーズベルト大統領に送った一通の書簡であった。例のE=MC2の公式を解釈していくと、核連鎖反応の軍事目的利用の道が開かれる。それをナチス・ドイツが先行して保有することを恐れた亡命ユダヤ人物理学者たちが、アメリカ政府に核開発を強く進言したのである。

マンハッタン計画2    マンハッタン計画1

やがて「マンハッタン計画」は着々と進展。1945年3月には、連合国の調査によりドイツが原爆を開発していない確証が得られるが、アメリカは1945年7月16日、世界で初めて原爆実験を実施した。そして、同年8月6日には広島、8月9日には長崎に実戦投入、合計数十万人が犠牲となったのである。またこれは戦後の冷戦構造を生み出すきっかけともなった。

さてこの歴史事実で注目されるのは、次の3点である。
(1)優秀な物理学者や数学者の徴集、総動員
(2)最初は良いと思って始めていること
(3)その後の暴走と、甚大な被害


現代の「マンハッタン計画」とも呼べる、「金融工学」も全くこれと同じ轍を踏んでいたのだ。まずは、天才的な物理学者や数学者が、金融のメッカであるマンハッタン島に集められた。この中には、ロスアラモス国立研究所に勤務していたものの、米ソ冷戦の終結によって職にあぶれた物理学者が、高額保証でヘッドハンティングされた例も多数含まれるという。

こうして集められた彼らは、物理学での知見を金融の世界に応用し、金融商品につきまとうリスクを複雑な方程式によって見えなくするという技術を編み出した。それはビーカーの中の泥水と同じく、金融リスクという泥を沈殿させて集めると、上澄みはリスクの小さい飲める水になるという理論なのだという。これを発明したときの彼らは、金融界に革命をもたらした、と沸き立ったという。

ところが、リスク自体はなくなったわけではない。リスクの高い沈殿物は債権にしても売れ残る。だからこれを、他の低リスク商品と一緒にして掻き混ぜれば、70%くらいはまたもや飲める水になる。さらには、リスクそのものも別の商品として売ればいい。ということで次々と金融派生商品が創られていった。その結果、多くの商品に、逆に見えないリスクが入り込んでしまった。こうして甚大な被害がもたらされることになったというのだ。

番組を見終わって、「結局こういうことだったのか」と思うと同時に、「なぜだ? さっぱり解らない」との疑問がまた沸いて来た。
「なぜだ?」というのは、知識階級に属している人々の、ある種の思考パターンとでもいうべきものに対する素朴な疑問である。
この「金融工学」においても、何人かの人々は、ある段階からその危険性を察知し、警告を発していたというのだ。だが全体としては暴走を止められなかった。これはいったい何なのだろう、と思う。

次の映像を見ていただきたい。これは現・三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社理事長で、多摩大学教授・ルネッサンスセンター長の経済学者、中谷巌氏が『資本主義はなぜ自壊したのか~「日本」再生への提言』という懺悔の書を著した時に語った言葉が記録されているものである。中谷巌氏は小渕内閣の時に「経済戦略会議」の議長代理を務め、1990年代には、竹中平蔵氏らとともに構造改革推進派の旗頭として活躍した。

しかしその後、新自由主義や市場原理主義との決別を表明、前述の書や「小泉改革の大罪と日本の不幸 格差社会、無差別殺人─すべての元凶は「市場原理」だ」(『週刊現代』12月27日・01月03日号)の中で、過去に自分が行っていたグローバル資本主義に対する礼賛言動、構造改革推進発言などを自己批判し、180度の「転向」を行ない注目を浴びた。



ここで、中谷巌氏が語っていることを整理すると、以下のようになる。
●グローバル資本主義は、人と人とのつながり、社会のぬくもりを失わせ、日本からコミュニティが消えていった。
●当時の自分は、傲慢にも、経済学の理論ですべて社会が論じられると錯覚していた。
●人と人とがお互いに接触し、お互いを信頼し、喜怒哀楽を共にする、そういう小さな社会の体系を経済学は全く議論していないし、できない。
●日本企業の強さは現場の一体感にこそあり、派遣切りなどを誘発した雇用政策は誤りであったということに気が付いた。
●何が人間にとって幸せなのか、という哲学的議論を深めないと、政策提言などとてもできない。

世間では、中谷巌氏の「転向」そのものを非難する声も多い。自分も、ああここでも『ダイエットの法則』(ずっと太らないように節制してきた人よりも、いったん太ってから痩せた人の方が注目を浴びるし、その人の言動を信じてしまうという法則)が働いているんだな、とは思うが、まあ「改むるに憚ること勿かれ」である。それは歓迎しよう。

ただ、自分が驚くのは、「今ごろそんなことに気が付いたの?」という点である。だとすれば、学者・知識人というのは、いったい何なのか?

「人と人とのつながり、社会のぬくもりが大切だ」などは、田舎の爺っちゃん婆っちゃんなら、普通に語っていることではないか。幼稚園だって、それは教えているぞ。
また、中谷巌氏が言われるように、本当に「経済学は、小さな社会の体系を全く議論していないし、できない」というのであれば、では「経済学」ってそもそも何の役に立つのだ?

さらに「何が人間にとって幸せなのか、という哲学的議論を深めないと、政策提言などとてもできない」と言うのであれば、今まで行なってきた政治、社会を巻き込んできた政治、あれはいったい何だったのか? 日本社会全体に、多大な影響力を行使してきたではないか。

『マネー資本主義』第4回の終盤では、「金融工学」の暴走を止められなかった事態を反省、なぜ人間は暴走するのか、それを脳波を分析して発見する試みが始まった、と紹介する。ある科学者は、「科学で起こした問題は、科学でしか解決できない」と言う。さらには、サブプライムローンでは失敗してしまったが、せっかく生まれた「金融工学」をそのまま葬ってはもったいない。大規模災害のリスクを持つ保険商品に適用した「カタストロフィ債」なるものが新たに発明され、これが早くも投資家の注目を集めている、と言う。

自分には、全く理解できな~い。
なんで?
「科学で起こした問題は、科学でしか解決できない」という思い込みが、すでに変なんだってば。
「経済学」の前に「哲学」をという発想が、すでに学者の傲慢なんだってばさ。
「脳波」など別に探らなくてもいい。
「学」に「学」を重ねなくたっていい。
「哲学」の議論などしなくたっていい。
ただ次の感覚がフツーにあれば。
それは、

倫理
ルール
マナー
知足
感謝
誠実さ
思いやり
利他心


違いますぅ?
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衆議院が解散した。麻生総理は次の選挙を『安心社会実現選挙』と命名、「国民に問うのは政党の責任力。景気回復を実現するまで総理・総裁の任務を投げ出さない。約束ができなければ責任をとる」とカメラの前で言明した。

『安心社会実現選挙』とはどういう意味だろう。<これからの社会は安心が重要。だからその安心を実現してくれる政党を選びましょうよ。>ということか?
自分には、麻生さんが語るこのいつもの言い回しがどうしても理解できない。安心が重要なのは、今の社会が不安で満ち溢れているからだろう。そこまではいい。ではそのような社会を創ったのはいったい誰なんだ。今の政府、自民党ではないか。

「景気回復最優先」と言い、自民党でなければ、私でなければそれが達成できない。景気回復を実現するまで総理・総裁の任務を投げ出さない、と言うが、今の未曾有の経済危機を招いたのはいったい誰なんだ。今の政府、自民党ではないか。

「政党の責任力」と言う。では問うが、あんなに大騒ぎして実行した「定額給付金」の景気浮揚効果については、一言もないじゃないか。公明党肝いりの景気浮揚策じゃなかったのか? それで「政党の責任力」とか言われてもなぁ。いまだにマニフェストもなしで、「約束ができなければ責任をとる」と言われたって、それじゃあ判断の仕様がないじゃないか。

いま、庶民の生活はボロボロのガタガタだ。だがそうなったのはいったい何故なんだ? 広い意味で言えば「それまでの政治」に原因があったからじゃないか? 今は景気が悪いから、「景気回復最優先」と言えば聞こえはいいのかもしれない。でも、実はとんでもないゴマカシがそこにはある。それをこれからしっかり検証していこうと思う。

先ず私からみなさんに問いたいのは、「景気がいいと、なぜいいのか」と言うことだ。

「ねえ、景気がいいと、どうしていいの?」
「そんなこたぁ決まってらぁ。昔から景気がいいってのは、いいんでぇ」
「だからどうして? 何がいいの?」
「暮らし向きがよくなるじゃねぇか?」
「暮らし向きって?」
「景気がよくなりゃ、実入りが増えるからよ。余裕ができるし、それでいろんなものが買えるだろ?」
「本当?」
「本当、とはどういうことでぇ?」
「平成景気のときに、あなたはよくなったの?」
「なってねぇよ。バカ、だからこうして困ってんじゃねぇか」


先ず【図1】を見ていただきたい。これは、名目GDPと平均給与との関係を見たものだ。(解りやすいように、その時の政権の首相名を付けておいたからね)さあ、小泉政権になって2年目の平成15年からGTPが上昇を始めるよ。ところが平均給与はその後どんどん下がっていくのだ。解るだろ? つまり、<景気がよくなると、暮らしもよくなるは真っ赤な嘘>だということ。

図1

「えっ! どうりで。いや俺もなんか変だなとは思ってたんだ。ホリエモンだ、村上ファンドだって世間が浮かれてたときにもよ。おれっちの生活はどんどん苦しくなって行くばかりでよ。なんだ、そうだったのかい」

そう。景気が浮揚すると国民全部が豊かになるというのは、高度成長期の幻影なんだよ。そんな時代はもうとっくに終わっているのさ。
今は、
<景気上昇で、利益を得る人と、得られない人がいる>
という社会になっているんだよ。さらに言えば、ここにはもっと深い意味がある。
<景気上昇で利益を得る人は、得られない人を【故意に】犠牲にすることによって利益を得ている>

「えっ、なんだって? そ、それって左翼がよく言う、『搾取』ってやつじゃねぇのか?」
「そうだよ」
「あっさり言うねえ」
「あとね、このグラフで注目しておいて欲しいのは、麻生太郎のところ」
「ああ、GDPがドーンと下がってる。なにかい? GDPってのはグレートどぽーんの略かい?」
「でしょう? これが後々歴史に記録される事実なんだよ。麻生政権ではGDPの最大の下落率を記録した。だからその人物が『民主党に任せていたら景気回復は覚束ない』なんて言うのは、滑稽以外の何者でもないよね」
「まったくだ。じゃあ聞くけどよ、利益を得る人って誰なんだい?」
「投資家と一部の経営者かな」
「損する人は?」
「労働者」


では【図2】をご覧いただきたい。これは非正規雇用者の割合を表したものだが、グローバリズムが進展し始めた平成6年位から一貫して割合が上昇し、今は労働者の1/3を占めるに至っている。更に【図3】を見て欲しい。日本のパートタイマーの賃金がいかに抑えられているかということを。【図4】は、完全失業率とGDPの関係を見たものだが、村山富市内閣前までは2%台だった失業率は、小泉改革後の景気上昇期には4~5%台で推移しているのだ。景気が上がったのに失業者も増える。これが、小泉時代の「好景気」の背景なのだ。

図2
図3
図4

もっと衝撃的なデータもある。【図5】は、完全失業率と自殺者率の関係を見たものだが、明らかな相関が見られる。平成10年以降、自殺者は3万人に急に膨れ上がりそれ以降も3万人超で推移している。この自殺者急増の背景を見ると、内訳には無業者や非正規雇用者が急増しており、自殺理由の中身も「経済・生活問題」が大きく関わって来ているのだ。

図5

さらに【図6】を見ていただこう。小泉政権になった翌年の平成14年からニート率が急上昇している。先の自殺率の上昇は30代の増加が顕著だったが、フリーターやニートの増加にも見られるように、雇用問題は高齢者だけでなく若者にも大きな影響を与えた。こうした雇用が不安定な社会構造は、結果として若者に「先の見えない自分、夢の持てない日本国」を提示することになったのだ。

図6

「ってことはよ。俺たちは、『景気』って言葉に騙されていたってことなのかい?」
「うん、まあ。小泉さんのときの『改革』って言葉と一緒だね」
「でも、ここまでひどくちゃよ、どうにもなんねぇよ。やっぱ、景気は上がってもらわねぇとな。おまんまが喰えねぇしよ、女房子供養えねぇよ」
「解るよ、そりゃ。ところがね、ここまで酷くしたのは、実は『麻生さんの言葉による風評被害』って面が大有りなんだ」
「え、そりゃ、どういうことでぇ」
「リーマンショックの直後、麻生さんは『わが国は、先進国の中でも影響は軽微』だって、大外れの見通しをしていたことは覚えてる?」
「う~ん、そんなこと言ってたっけ?」
「なんだ、忘れちゃったの? まあとにかくそう言ってたんだけど、その後、先進国の中では最悪の実体経済という状態になっちゃった」
「なんでよ?」
「麻生さんが『景気回復最優先』を言い過ぎたからさ」
「あー、解んねぇ」


【図7】を見ていただきたい。これは経団連会長の御手洗さんの会社、キヤノンの売上高と、名目GDPを前年比伸び率で比較したものだ。このグラフを見ると、即座に次の二つのことが判るだろう。

図7

(1)キヤノンの売上高と、日本の名目GDPには相関がある。
(2)しかしキヤノンの売上高の上下の方が、GDPの上下よりも大きく振れている。

先ず(1)は、日本の輸出関連企業の業績がGDPの上下に影響を与えているということを示している。これは実は因果関係が逆で、日本のGDPを押し上げるために(つまりは経済成長を達成するために)この時期、輸出頼みだったということである。内需が頭打ちなので、そっちには目をくれず、政府は輸出で成長を達成しようとしたのだ。

次に(2)は、影響があるといっても、GDP全体から見ればわずかである、ということを同時に示している。
これは前回にも書いたが、日本のGDPに占める「輸出」の割合は16.3%。さらに耐久消費財(自動車や家電品)が占める割合は、GDP比率で見るとほんの3.3%に過ぎない。
また、輸出入合わせた貿易総額はGDPの3割弱である。つまり、日本の景気は、実は「外需」ではなく「内需」の動向が鍵を握っていたのである。

「今、不景気だ、不景気だって言うけどさ、なんで不景気だと思う?」
「そりゃ、物が売れねぇからだろ?」
「まあ、そりゃそうなんだけどさ、逆から見たらそれってどういうことになる?」
「逆って?」
「つまり、買う側」
「買わねぇってことだろ?」
「どうして?」
「生活が苦しいからだよ」
「どうして苦しいの?」
「給料は増えねぇし、いつクビ切られるかも分らねぇからだよ」
「でしょう? つまり未来に希望が見えないからだよね?」


小泉政権下の景気上昇は、正規雇用を減らし、賃金をカットすることで達成してきたものだ。だがその雇用者は、回りまわって次の「購買者」となる。その「購買者」に将来の生活不安があるから、GDPの多くを占める「内需」が急速に縮こまってしまったのだ。
「外需」にしか目を向けていなかった麻生政権ならびに自民党にはこの理屈が解っていない。いや、解っているのかも知れないが、故意に目くらましをしているのかも知れない。

経済の第一歩は「お金を手放すこと」だと言われる。ところが国民の大部分が将来不安から節約に走っているため、お金が回らない状況になってしまったのだ。なぜか? 麻生さんが将来不安を煽ったからだ。日本のGDPの多くが実は「内需」だということをきちっと説明して、「アメリカ経済崩壊で日本の輸出産業には大きな影響があるだろうが、内需でしっかりそこをカバーしていこうよ」と言えばよかった。

ところが「100年に一度」とか、「景気回復最優先」を旗印に、それを連呼するものだから、輸出産業とは関係のない国内産業に従事する者たちまでが、「もしかしたら大変なことになるかもしれない」と不安に駆られて、一斉に財布の紐をギュッと締めてしまったのだ。そして、「内需」については、愚にもつかない「定額給付金」のバラまきをやった。1万2千円を貰っても、それで「将来不安」が消えるわけではないから、「内需」回復には程遠い。

リーマンショックの直後、麻生さんが「日本は先進国の中では傷が浅い」と言ったのは、金融のことを言っていった。不良債権の額はそれほど多くはない、と思ったのだ。しかしアメリカ経済が沈んだことで、アメリカ向け輸出が激減してしまった。だがそれとて、日本経済全体の中では、ある一部のこととしてそこで止めておくことが出来た筈だ。

しかし、日常的にスーパーマーケットに行ったり、ファッションを買ったりしたことがない国会議員の先生方やお役人さんたちは、ミクロの実体経済(つまり普通に物を売ったり、買ったり)が、感覚的にまるで解っていない。だから、いちばんパイの大きい「内需」に関しては放ったらかしにして、大企業向けに「景気回復最優先」を口走るだけだったのだ。つまり、今の大不況は、『麻生さんの言葉による風評被害』の影響が非常に大きい、と私は見ている。

「なるほどね。歴代の自民党政権が、雇用不安を増大させていったから、今俺たちがこうなっているってわけか」
「それだけじゃないよ。医療だって、介護だって、年金だって、教育の問題にしたって、みんなその根っこには、<雇用不安がなく、継続して賃金が得られる>というベースがあるからこそ、成り立つことなんだよ。その根っこを、先ず崩壊させたのが自民党政治なのさ」
「なんだ、なんだ。『安心社会実現選挙』って、あいつらまったく逆をつくってきたんじゃねぇか。その反省が全然ないのかよ」
「グローバリズムが入ってきて、『企業は誰のものか?』なんてバカな議論があったでしょう? あれだって、雇用を流動化させて、株主に利益がもっといくようにさせるための、投資家と経営者の作戦だったんだよ」
「ひでーなぁ。だけどよ、俺が解らねぇのは、なんで有効な策もねぇのに『景気回復最優先』って、麻生太郎はずーっと言い続けてんだよ?」
「もう一人いるだろ? おんなじことばっかり言ってる人」
「誰でぇ?」
経団連会長の御手洗さん。だから、あれは経済界へのリップサービスなんだ」
「えっ! 俺たち庶民に対してじゃないの?」
「違う。今までも説明したように、今の経済界や自民党政治のやり方では、景気がよくなると、逆に庶民の生活は苦しくなるんだ」
「そんなバカな!」
「バカなって、もう結果がいろんなところに出てるじゃないか? もうこれ以上苦しみたくはないだろ?」
「そうだけど、なんで自民党は俺たちの方を見ようとしないんだ?」
「あなたは献金してる?」
「するわけねぇ」
「だからだよ。自民党に献金してるのは企業なんだ。だから、その人たちに利益があるように政治を誘導していくんだ」
「嘘だろ? なあ、嘘って言ってくれよ。そんなふざけた政治があるけぇ」
「‥‥‥」


今や「誰にでも利益があること」はあり得ない。あちら立てればこちらが沈むという世の中なのだ。例えば、医療費抑制を叫んだところで、政権与党のバックに医師会がついていれば、それに反対するのは目に見えている。日本の政党は自分たちがどういうグループの利益を代表しているということを明確にしないし、公約も実現されたかを検証しようともしない。それが当たり前で来ている。しかしもうそれではダメなんだ。

8月の選挙では自民党は惨敗するだろう。だがそれは始まりだ。自民党の中にもいろんな立場の人がいるし、民主党の中にだっていろんな立場の人がいる。だから、カラクリが見えにくい今の政治状況から、もっと解りやすい特定の利益グループに沿うように、やがて調整(政界再編)が起こるだろう。

しかしそれとて、人間が未熟だから起こる過渡期の現象なんだと思う。本当は、特定の「利益」などといったことを考えない世の中にしていかないと、いけないんだと思う。
東京都議選が3日告示され、12日の投票日に向けて選挙戦がスタートした。3日午前10時、麻生さんが青梅市で第一声を上げたが、その演説の言葉を聞いて、またまた首を傾げざるを得なかった。

麻生さんは言う。「民主党は何をするのか。政権交代は手段であって目的ではない。政権を交代し何をするかが問題だ。政権交代と景気後退、同じ<コウタイ>でも意味は違う。政権交代が景気後退になってはならない。」と、まるで、民主党政権になったらもっと景気が冷え込んでしまうぞ、と言わんばかりだ。

でもこれっておかしいと思いませんか? 確かに麻生さんは「景気回復」を旗印にしている。しかし「100年に一度の不況」も「過去最悪のDI記録」も、みんな麻生政権になって起きたことじゃないか? 自分の政権下で、過去最悪の景気悪化を招いたというのに、民主党政権になったら景気が後退するぞ、という理屈が、自分にはどう考えても解らない。

現在の状況が、よしんば今の麻生政権の責任ではないとしても、それを招いたのは、アメリカの新自由主義に尻尾を振ってきた過去の自民党政権の失政にあったことは明らかではないか。現在の状況がその「結果」なのだから。すでに証明されているではないか。その「景気悪化」の責任、「政治混乱」の責任を、自民党総裁として、まったく感じていないんだろうか? まずその懺悔をするのが筋だと思うのだが、どうだろう?

麻生さんは、民主党に政権を任せられない理由として、
1.景気対策がない
2.安全保障政策で党内に意思統一がない
3.提案する政策の財源が不明
ということを毎回のように言う。しかし、じゃあ自民党にそれがあるのか? と考えると、この発言は相当の厚顔無恥であると言えはしまいか?

先ず第一に「景気対策がない」といっても、そもそもの話、現在の「景気悪化」と「雇用崩壊」の状況をつくったのはいったい誰であるか? 小泉自民党と竹中平蔵ではないか。それなのに、新自由主義への反省も懺悔もなく、オバマさんのように経済の仕組みそのものを変える政策を打ち出すでもなく、ただ過去への「回復」を狙うことが、求められる「景気回復」であっていいはずはない、と私は思うのだが。

第二に「安全保障政策で党内に意思統一がない」と言うが、では自民党にそれがあるのか? 自民党内だって「安全保障政策」については妥協の産物に過ぎないではないか? 確かに民主党は結党の経緯から、「安全保障政策」については左から右まで自民党よりは幅が広い。しかしそれも「程度の差」に過ぎないのではないだろうか?

ではこれまでの自民党の「安全保障政策」で、拉致問題は解決したのか? 基地問題は解決したのか? 果たして核保有の決心はついたのか? 憲法を改正したのか? 何も変わっていないではないか? やってきたことは、利害が一致する欧米の十数カ国を「国際社会」という言い換えをすることで国民を騙し、さも世界に貢献しているかのごとき錯覚を国民に与えて、ズルズルとブッシュ政権の言いなりになって来ただけではないか?

第三に「提案する政策の財源が不明」と言うが、官僚政治打破も一向にできず、ムダ遣いで官僚を焼け太りさせ、国債増発で借金大国にしたのは、これまでの自民党政権ではないのか? 借金を財源というのなら、そんなことは誰にでも言える。忘れてならないのは、官僚の腐敗とムダ遣いを追及してきたのは民主党議員だったということだ。

一般の家計なら、給料が下がれば、節約して支出を切り詰める。それが当然だ。ところが、これだけの支出があるから、そのためにはこれだけの収入がなければならない、というのが自民党の財政論議になってしまっている。政治家までが、役人と同じ頭の構造になっているのだ。これもおかしいじゃないか?

今求められているのは、医療や介護や環境政策など、必要なところに思い切ってお金を集中させて使うことだ。一方で、ムダはカットするということだ。ところが省庁の予算配分のこれまでの伝統が断ち切れないから、いつまでたっても麻生さんのいうような財政論議になってしまう。

「定額給付金」が支給されたが、それによって「これだけの効果があった」といった報道はまったくないではないか? なぜだ? ちゃんと検証しなくちゃダメじゃないか? 2兆円も使ってやったことなのに。それが、支給と同時にもう過去のこととして忘れ去られている。こんな状態で、民主党に「財源が不明」などと言えるのだろうか? それより前に自民党政策では「使途が不明」になっているではないか?

自民党はこれらもろもろを総じて「政権担当能力」と言っているわけだが、それは今まで政権を担当してきた、という事実に過ぎず、果たして「能力」があったかどうか、というのは別問題ではないだろうか? むしろ経済にしろ、安全保障にしろ、雇用、医療、介護、教育にしろ、この20年間くらいはどんどん悪くなる一方だった。

だからもう「能力」があるかどうか、じゃないんだよね。自民党政権に嫌気が差していて、もうこの辺で変えたいんだよ。少なくとも、自分はそう感じている。そういう人が多いんじゃないだろうか? そのことに麻生さんは、あまりにも鈍感過ぎると思うのだが。

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Author:imanari munekazu
このコーナーでは、時事の話題に触れながら、意見、雑感等を不定期に発信してまいります。

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